1.CPSCMの基本的考え方
(1)サプライチェーンの基礎的資質は供給に要する時間(リードタイム)の長さによって規定される。
(2)リードタイムの長さが在庫水準(投入資源水準)を高め、経営のリスクを高める。
(3)リードタイムはサプライチェーンのネットワーク構造、需要量とそその変動、供給活動の時間当たり能力(製造、輸送、荷役など)、そして管理サイクルタイム(管理間隔ないし発注間隔)によって規定される。
2.CPSCMによる分析で何ができるか。
CPSCMは、サプライチェーンの再構築あるいは改革において、サプライチェーンの”素”の能力(供給のリードタイム)を評価することによって、サプライチェーンの新規設計ないし改革を支援する。以下の4項目に関する分析が可能である。
(1)サプライチェーン・プロセスのリードタイム(最終的には原材料から店舗までのリードタイム)をサプライチェーンの管理の仕方を踏まえて計算できる。
(2)サプライチェーンの、需要に応じたチェーン全体の達成可能在庫水準を計算できる。
(3)上記(1),(2)を踏まえ、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)およびキャッシュフローを提示できる。
(4)サプライチェーンの改革代替案に応じて(1)-(3)が可能で、最適案を選択できる。
上記の分析は、CPSCMに組み込まれている独特のプル制御による計算方式から可能になる。この方式は理論的にも正統な考え方で、より望ましいサプライチェーンを構築する場合には必須である。単なるシミュレーションとは一線を画する特徴となっている。